全塾留年生扶翼会


『策士の遅刻』
名門大学の若き学徒、卒業を目前にして、あえて一歩を踏みとどまる。失敗ではない。計算である。
「今ではない、もっと良い舞台があるはずだ」と、彼は自ら幕を引き延ばす。
論文を棚に上げ、履歴書を磨き直し、再び就職戦線へ。
二度目の挑戦は、まるで既に台本を読んだ役者のように、余裕と勝算に満ちていた。
やがて彼は望んだ舞台に立ち、報酬も申し分ない。
勝利の美酒に酔いしれつつ、こう言い放つ――「遅れたのではない、狙ったのだ」と。
だがその裏に、ほんの少しの不安と、ほんの少しの言い訳が見え隠れするのは、読者の想像に委ねよう。
遅刻は時に戦略であり、時に都合のよい偶然でもあるのだから。

summary
“The Strategist’s Delay”
In the grand theater of ambition, a young scholar at a venerable university finds himself at the final act—diploma in sight, future uncertain. The curtain rises on a twist: he chooses to linger, not from failure, but from calculation. A pause, he claims, to aim higher.
He trades tassel for time, thesis for tactics, and reenters the fray with sharpened resolve. The world, it seems, rewards the well-prepared—especially those who’ve already read the script once before.
And so, with a résumé polished and a paycheck plump, he declares the gamble won. Yet behind the confident prose lies a quiet truth: even the most deliberate detours are not without toll.
In the end, it’s a tale of delay not by misstep, but by design—though whether the design was divine or merely convenient… well, that’s for the reader to decide.
ENG TRANSLATION
『策士の遅刻』
就職留年記
ワンチャン狙いで留年した私が、年収1000万になるまで。
①留年した理由
②留年した結果どうなったか。
③まとめ:留年して
後悔しているか。
④最後に
①留年した理由
結論から申し上げると、就職活動のために"わざと"留年しました、就職留年というやつです。
私は慶應義塾大学の文学部で、大学4年時に留年をしました。
理由としては、情けない話なのですが、大学4年時、皆さんも経験した就職活動が不本意な結果に
終わってしまったためになります。(当時も内定はいただきました。)
具体的に不本意に感じた点としては、
a.準備不足:サークルに打ち込み過ぎて、業界や企業研究が少ない状態で就職活動を迎えてしまった。
b.待遇に納得いかなかった。:自身が納得できる給与を得ることは難しかった。
というものでして、今までストレートで来ていたこともあり、就職活動に再チャレンジしたいという思いから、
両親や、所属ゼミの 教授に相談の上、留年を決めました。
幸いなことに学業面で不自由することはなく、卒業論文以外は卒業の要件を満たしていたため、
卒論のみ未提出という形にして、留年することができました。
また、留年するということは学費の面で両親に余計な負担をかけてしまうということですから、
半期を休学することで学費を半減させていました。

②留年した結果どうだったか
1年就職留年した結果として、私は非常に満足のいく結果を得ることができました。
現在は東証プライム市場に上場している大手I企業に所属しており、ありがたいことに28歳で年収は1000万円いただいております。
就職活動が成功に終わった要因としては以下があげられると思います。
a.留年する前も、就職活動にある程度とりくんでいた。
就職活動を2年連続でやっているわけですから、自己分析や企業研究、就職活動のスケジュールもインプットできていました。
強くてニューゲームというやつです。
b.就職活動がうまくいく素地がもともと備わっていた。
大学生の就職活動で求められるものはいくつかありますが、主に求められるのは即戦力ではなく「将来にわたって活躍できるか、活躍できる素養を持っているか」
という点であると考えております。将来性を見分けるために企業が確認するのは、
①基礎学力(SPI等の足切り)
②学生時代に力を入れて取り組んでいたこと(学チカ)
幸運なことに、私には上記の両方の素地が備わっていました。大学においても4年間サークル活動にしっかり取り組みましたし、外様(大学受験組)であったわたしにとって、就職活動における適正検査をパスすすことは難しいものではありませんでした。
譜代(中高受験組)や、旗本(幼稚舎組)は、まじめに勉強していない人は、ここで落とされてしまう人も一定数いるという話を聞きます。
エスカレータの弊害ですね。
上記のうち特にbが重要であったと思います。就職活動に限らず、大学受験においても浪人等、再チャレンジする人は少なくありませんが、
必ずしも、良い結果を残せる人ばかりではないの理由の1つは、上記bであると就職留年を通して、感じました。
③まとめ:留年して後悔しているか。
まとめとして、自身の留年を振り返ってみて、後悔しているか否かですが、私はこの結果に非常に満足しており、留年してよかった、と考えています。
私個人の考えとして、人生には自身の努力や結果にレバレッジが働く期間があると考えています。
例えば、高校受験や大学受験は代表的な例です。受験で良い結果を残すことは、その後の人生に継続的にプラスの影響を与えますし、逆もまた然りです。
就職活動も同様です、むしろ受験よりも影響が大きいでしょう。

大学や高校と違って今後何十年も務めることになります、転職活動においても元々勤めていた企業をもとに評価、判断されます。
業種、働き方の多様性は大学の比ではないほど差が出ます、より生生しい話をすると、務める企業や業界によって同じ大学出身でも生涯年収に数億の差が出ることは
珍しくありません。※
当時の私も就職活動が人生に与える影響の大きさを考えると、不本意な企業に就職することと留年して1年遅れになることを天秤にかけたとき、留年を取ったということになるのです。(1年程度の留年であれば、正しく説明することができれば就職活動に影響はありません、4年は論外ですが)
最後に、留年生を見て私見を述べさせていただきます。
留年をするものを見ていると中にはのっぴきならない理由を持つ者もいますが、そういった非常に特殊な例を除いて、
概ね留年するべくして留年している者が多いです、自業自得です(私も含みます)。
自業自得にも関わらず、自省することなく外部(環境や教授等)に理由を見出しているうちは次のステージは見えてこないと思います。
留年に限らず、何かに躓いたり、壁にぶつかったときは先ずは自らを省みて、自身の力で解決していくことが大事なのではないでしょうか。
『God helps those who help themselves』(Algernon Sydney)
※参考:
https://www.nenshuu.net/corporation/contents/index_lifetime_category.php