全塾留年生扶翼会
現役一留記
2023年入学
1年目の1年編
新一年生として入学してから留年が確定するまでの
1年間の出来事。
●春学期(4月〜7月末)
2023年4月 慶應義塾に現役で入学。
サークルは活発なものには入れず、
小規模なものにいくつか入るのみであった。
履修登録は新歓期間を利用してミスなく
完了できていた。序盤は真面目に授業に出席し、
放課後はサークル活動に行くか、
高校同期と遊ぶ生活を送っていた。
バイトは新生活が落ち着いてからでいいやと思って
先延ばしにし、結局12月まで始めなかった。
まず、春学期における失敗はこの時点で
既に始まっていた。
入学当初私は大学では勉強にそこまで力を
入れなくてもいいと思っていた。
よくあるバカな感じではあるのだが、
同じような学生は少なくないと思う。
高校時代、大学では好きな勉強ができて
様々な経験を積むのに時間を使える場所だと
語られることが多かった。
そのため私には大学生が必死になって
勉強している印象があまりなかった。
また学部によって忙しさが全然違うので、
勉強しなくていいというイメージも
強ち間違いではなかった。
実際初回授業が終わった直後にはSNSで
コレジャナイ感を訴える投稿も多く見られた。
5月あたりから徐々に出席のない授業は
欠席してもテスト前に自力でなんとかなるからいいやと
希望的観測をするようになった。
更にほぼ毎日夜更かししてゲームをするようになった
ことで1限には出られず、
その流れで他の授業もサボる日も増えていった。
7月になると月末の期末試験に向けて皆勉強を始めるの
だが、授業に出ていない故そもそも
何から始めていいかわからない。
受験の時の知識が残っているからなんとかなると
思っていたが、テキストを開いてみると
何を言っているのか全くわからない。
徐々に焦り始め、現実逃避に走るようになる。
一週間前あたりから漸く勉強を開始し、ほとんどの科目に一夜漬けで臨み、
試験期間を終えた。おそらくどんなに悪くても留年確定はしないと確信して、
あとは夏休みと秋学期頑張れば進級できるだろうと思っていた。
●夏休み(8〜9月)
春学期末大変な思いをした反省から、
長い夏休みを利用して春学期の復習と
秋学期の予習に取り組もうと思っていた。
しかし長い夏休み、目標も予定もないのに
規則正しく生活して毎日勉強に励むのは
簡単な話ではない。
最初の決意も束の間毎日朝10時に寝て
夕方5時に起き、
起きている間はゲームとYouTubeに時間を
使うだけの毎日を過ごしていた。
9月5日 成績発表。
春学期の成績は必修の落単数8単位で、秋学期2科目以上落とすと留年が
確定する状況だった。
普通の人なら発狂しそうな成績だが秋学期の落単数をしっかり抑えれば進級は
余裕だろうと思い、特段焦りはしなかった。
●秋学期(10月〜翌年1月末)
秋学期は春に比べ授業数が少なく、午後から登校する日は
昼まで寝られるため、生活リズムが狂ってしまった。
そして遂に毎日朝までアニメを見て寝ずに学校に行き、
空きコマで睡眠をとる生活を始めた。
無論そんな生活がうまく行くはずもなく、
1限には出られなくなり、
そのまま1日家に篭って過ごす生活に戻った。
そして秋学期はほとんど学校に行くことなく年を越した。
1月末には期末試験を控えていたが今回は
授業を受けていないことに加え、
この試験で失敗すると留年確定というプレッシャーが
重かった。
そのせいで春学期以上に勉強が手につかなくなって
しまった。焦りながらも勉強計画を立て、
死ぬ気で勉強しようとしたが、
現実逃避から気づけばスマホのゲームをしている始末。
試験を解いた感覚から、少なくとも2科目以上は落としたと確信し、憂鬱な状態で春休みに入る。
●春休み(2月、3月)
遊びに行くことで自分の気持ちを誤魔化しつつも頭の片隅では常に
留年の恐怖に取り憑かれていた。
3月8日 成績発表 原級確定。
落単数は必修12単位語学6単位 総合GPA0.91。
親に伝えたが大体察していたため特に驚かれなかった。
元から覚悟はできていたはずだがいざ留年を
目の前にしてみるとショックが大きく、引きこもりになる。
4月からの生活を想像して気が重くなる。
2年目の1年編
留年が確定してから
9月現在までの出来事。
●春学期
4月、どうせもう一度やり直すことになるなら
サークル選びもやり直そうと思い、
いくつか活発なサークルに一年生として入る。
いきなり留年していることを言うと
絶対に引かれるので留年は隠す。
次にクラス顔合わせがあった。
ここで留年を隠し通そうか、
どこかいいタイミングでカミングアウトしようか
とか考えていたがもはやその必要もなかった。
自己紹介の時、学籍番号順に呼ばれるので
一発目で呼ばれ留年がバレる。
頑張って気さくに話しかけていたので周りは優しかったが、
留年した自分の相手をさせるのが申し訳なく、辛い。
肝心の授業の方は、去年落とした分の授業は受ける前提で、
単位が取れた授業も受け直しができるらしく、なるべく多く申請した。
去年落とした授業を受け直すと、思った以上にちゃんと勉強しないと
習得できない内容だと分かった。いくつかの講義は去年一度も出席して
いなかったので、2年目にして完全に初見だった。
去年の自分がいかに愚かだったかを痛感した。
ただ、ここでまたきつかったのが第二外国語である。
二外はクラスで受けることになっており、
週2回あるので相当の時間気まずい思いをして受けなければならない。
幸いクラスの人は優しかったので普通に接していたが、
考えすぎてしまう性格も災いして精神的なストレスが蓄積されていく。
留年するようなやつとは関わりたくないとか迷惑だとか思われている気がして
去年の同期と同じようには話せない。
サークルもまた然りであり、
留年を隠している罪悪感と自分がそこにいてはいけいないような
居心地の悪さを常に感じながら過ごしていた。
6月、春学期も中盤に差し掛かり、
留年生活にも慣れてきたところで
また去年のように生活習慣が乱れ始めた。
1週間のうちのほとんどが午後から授業だったため、
毎日朝4時くらいまでスマホを見て過ごし昼に起きる生活に変わった。
そのため元々勉強に充てる予定の午前中は消え、夜は夜でスマホをしているので
留年している割に勉強量は多くなかった。7月、春学期の期末試験前だが、
流石に去年の反省を踏まえて勉強した。
始めるのは少し遅れたが対策はしっかりして臨み、
無事フル単(笑)を達成した。
●夏休み(8月、9月)
夏休みは去年の反省から学費稼ぎの為のバイトを
たくさん入れて引き篭もりにならないように勤めた。
バイトの他にサークル活動にも励んでいたが、
先述の通りやはり居心地の悪さと言うものは常に付きまとう。
サークルの先輩や同期はすごく優しいが、
それがまた辛さを加速させる。
というのも去年私はサークルに行ってはいたが中々深い友達はできず、
大学で人間関係を構築するのに半ば疲れていた。
去年諦めずにもっと積極的に関わるようにしたり、
別のコミュニティに挑戦したりできなかったことが本当に悔しい。
バイトや勉強についても同様で、
今年になってからできるようになったことが増えて成長を感じる反面、
なんでこれが去年出来なかったのだろうと思うことが多い。
9月5日 成績発表。
去年落とした授業は全て取り切り、
受け直しをした授業もほとんど成績を上げることに成功した。
ただ、元々の目標は勉強に全力を注ぎ、
SやAを目指すことだったにも関わらず評定はBばかりだった。
単位は無事取れたものの、留年している割には残念な感じだった。
●留年の感想編
留年中よく考えていたことがいくつかある。
●なぜ留年したのか
これを一言で言い切るのは難しいが、
・精神的な弱さ、
・未来の自分や他人がなんとかしてくれるだろうという
甘い考え
・嫌なことから目を背けたくなる癖
などが原因なのではないかと考えた。大学生の留年にも色々あり、
「学業よりも優先することがあった」とか
「履修登録や試験時間をミスった」とかがよくあるパターンだと思う。
自分の場合は「なんかわからないけど授業に行けなくなり勉強をサボってたら留年した」
というパターンだった。このパターンも多いと思うが、
そういう人は多分一度痛い目に遭わないと治らないと思う。
大学生の怠惰などはありがちなことだが、軽視してはいけないと思った。
●留年を隠しても何もいいことはない
留年している旨を言って引かれたらショックを受けるだろう。
だが隠し通して罪悪感と居心地の悪さを感じながら過ごすのも
また辛いものがある。
今思えば、サークルに入った段階で言ってしまっても
そこまで引かれなかっただろうなと思う。
●留年は遊びではない
今年からやり直そうとサークルに入ったのも一種の甘えだと思う。
留年の1年間は去年疎かにした学業に全力を注ぎ、
取りこぼした単位を必死で取りに行く時間である。
決して去年取りこぼした楽しみを啜りに行く時間ではない。
ただ、1年目でやり残したことを2年以降も気にし続けることを防ぐという面では、留年をして良かったと思う。
また、ギリギリ進級出来ていた場合に比べ失敗から学んだことで
精神的に大きく成長出来たのも留年のおかげなのではないかとも
思っている。
●留年が受け入れられない
新しいクラスやサークルにも馴染み、留年に慣れて来たところで今度はふとした時に
自分が留年していることを忘れていることに気づいた。
普段新一年生として過ごしたり現二年生と今まで通り関わったりしていると、
自分が新一年生であるような錯覚や、無事進級した二年生であるような
錯覚を覚えるようになる。
そういった感覚がどこから来るのかを考えると、おそらく自分は留年確定から半年が経った今でも自分の留年を受け入れられていないのではないかと思った。
留年は周りから一年遅れることであり、何より去年1年間の過ごし方がまずかったことの証明でもある。
将来への不安や去年の行いへの後悔で留年が受け入れられないのも無理はないが、
どこかで向き合う姿勢にならないと同じ失敗を繰り返しかねない。
●春学期を振り返って
最後に春学期の反省として、このままの生活だと普通の人が
1年でやることを2年かけているだけに
なってしまうと思った。
留年したからには浮いた時間でなにか身になることをするとか、
より良い成績を目指すとかしないとただ一年周りから遅れているだけになってしまう。
ここまで半年間の感想を書いたが、
私の留年生活はまだ半分しか終わっていない。
春学期からの反省もこれから不安なことも沢山あるので、
10月からまた気を引き締めて留年に向き合っていこうと思う。