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在学延長
(半年留年)
体験記 

在学延長とは、本校に存在する制度であり、
名前の通り在学期間を延長することができる。
塾生サイトには以下のようにある。

4年生が卒業に必要な単位を満たした場合でも、
在学期間延長を申請し許可を得られれば、
学部学則第156条で定められた
在学期間の上限内で引き続き2学期まで
在学することができます(学部学則第169条)。
ただし、学費は全額納入しなければなりません。
在学期間延長を許可された学期においては、
次の条件が課されます

1.在学中は塾内諸規則を守る。
2.申請は1回限りとし、許可された卒業学期を変更することはできない。
3.在学を許可された学期の途中で籍を離れる場合は、退学となる。
4.在学を許可された学期には、1科目以上の科目を履修し、

 単位を修得する努力をしなければならない。
5.最終学期は「在学」しなければならない。

これにより学生の身分を続けられるメリットがある。

実態は留年の聞こえをよくしただけであり、必ずしも丸1年在籍する必要はないが、半期分の学費は払う必要がある。

私の場合、単位をすべて取り終えたのちに在学延長の申請をした(なお、この場合でも履修申告だけはしなければならない。

これをしないと意欲なしと見做され追放されてしまう)。


単位も取りきって卒業論文も提出した私がなぜ在学延長したのかというと、就職のためだった。つまり就職留年ということになる。

ここでは就職留年を招いた原因と、実際にやってみた所感について述べたいと思う。
私は3~4年次にかけて就活というものが反吐が出るほど苦手でまったくやってこなかった。
また私は人に言えるほどの活動をしてこなかった。ガクチカでは非常に困り、

スパイのようにカバーストーリーを仕立て上げなければならなかった。
これを作り上げた所で、対人経験値の不足と場数の少なさが面接時の過緊張を招いた。そもそも普段関わる

同年齢くらいの世代以外とはアルバイトでしか接触することがなかった。

そのバイトも塾講師と派遣での軽作業くらい
だったので子供と老人しか関わることが
なかったのが、中ほどの年齢の社会人と
対面した際に弱さが出てしまったのかも
しれない。

単純にコミュニケーション能力が
不足していた。

言い訳させてもらうと1年次にはコロナ全盛で
あり半年はキャンパスに行くことがなかった。
しかし実際には活動の有無関係なく
サークルに入会している人はいたわけで、
私は初動を誤ったといえる。

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1年秋から適当なサークルに入ろうとしたが既に雰囲気が出来上がっているように感じたのと、

中高で運動をしてきていないので自分につきっきりで指導してもらうことが

苦しいと思ってしまった。最低限レクリエーションができる程度の運動能力が

必要だと感じた瞬間だったが時すでに遅かった。

結局不定期隔月のサークルにひっそりと参加し、

特に仕事はしていないが出席率が良く内情が分かっていたので、

申し訳ないと思いつつここでの経験をガクチカに使わせてもらうことにした。

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長々と遥か昔のことについて述べてきたが、
もともと大学の入学前から陰気なキャラクターには

私立文系は厳しいという話は耳にしていた。


自分が孤独なだけだったら想定内だが学業に

支障がでるのではないかという疑念があった。


結果からすると私は就職留年こそしたが
単位不足による原級はしたことがない。


試験前にノートを見せてもらい、
過去問をもらうような知り合いがいなくても
完全に独力で卒業することはできることを

証明できたと思う。成績はよくなかったが
それは単に頭がよくないからだろう。

ちなみに私の学科は一応課題が多い学科と言われているらしいというのを入ったあとに知った。

そんな私と同じくコロナで情報を得ることができなかった人が多かったのか、
私の学年は例年の2~3倍の人数になったようだ。

しかし完全な独力は就活では通用しない。
私のように知り合いがいない情報弱者は
学業だけでなく就活の情報もない。


今はネットやSNSでいくらでも情報が手に入る
が、同期がどのくらい動いているか、
先輩はどのようにやっていたかといった
生きた情報は、自分が目を逸らしていたことも
ありながら当然得ることはなかった。

さらに、表だって自分の就活の結果を発表できるような

人間がこの大学には比較的多いというイメージがあるが、
当然そうではない人間もそれ以上に存在する。

自分と似た「4年間特になにもしておらず就活に

意欲と適正がない人間」がどのような
末路を迎えるかということについての情報を
見つけたくもなかった。

世間一般と同じく、
いい大学に行けばいい就職ができるくらいに考えていた。

実際に動いたのは3年秋から本命の企業の
オンラインでのインターンに参加したのみととどまった。


この時期卒業に必要な単位の計算を間違えていたことが発覚し、

ほぼフルで授業を受けていたこともあり就活に割く時間がなかった。

 

これも言い訳か。

学業の方はなんとかなったが、冬になっても就活に手をつけずにいた。
そのうち3月の就活解禁になってやっと有名企業10数社にエントリーした。
この時点で自分の経歴を過信しすぎていたが当時の自分はそれに気づかなかった、
というより見ないふりをしていた。

それでもそのうちの4分の3ほどは書類が通ったので余計に慢心してしまった。
本命の企業はSPIで落とされてしまった。

この段階でもまた運が悪いくらいにしか思っていなかった。
当然その後も面接でさらに落とされ、5、6月に慌てて受ける企業を増やすが手遅れだった。

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最終的には、8月まで就活をしていた。
暑い中ジャケットを着て、追加募集の締切に
ギリギリで出した企業のオフィスに出向き、
当然内容を詰めてきていないので圧迫を受ける。

普通は絶対間違えないような質問を間違えた時は、

クーラーが効いている部屋にも関わらず
外を歩いている時よりも汗をかいていたと思われる。


面接終了後、今後の予定を説明されたが受かっている

気がしなかったため、ほぼ即日合格通知が来たのは驚いた。
この企業に行くべきかどうか迷ったが、
辞退することを決めた。自業自得ではあるが、


コロナで丸一年潰れていること、
企業の条件が悪くはないが微妙だったこと、
酷い出来にも関わらずあっさり受かったことによる不信感

が理由だった。


まだ冬まで就活を続ける選択肢もないわけではなかったが、複数の就活サイトやエージェントを見るかぎり

自分が求める条件は完全になくなっているようだった。
この時点では、就職留年のために在学延長を行うか、

その分の学費がもったいないので卒業し、

既卒の立場から就活するかは思案中だった。

ただ、すくなくとも経歴に傷をつけ、親のすねかじりの延長を決めた

その瞬間は必死になって就活を行う覚悟を決めたはずだった。

適当な理由で就活の延長を決めた人間の覚悟が続くはずもなく、
結局来年度に向けた夏のインターンにもいかず、バイトも辞めて

だらだらした生活を送った。
単位は3年次でとりきっていたので卒論を書くことくらいしかやることがなかった。
なお遊びに関しては就職先が決まっている同級生と同じくらい力を入れ、
色々な所に旅行しに行くなどしていた。


4年冬、年末も近づき卒業論文も終わりが見えてきたなかで、私はまた忌まわしい就活に
向き合う必要があった。それ以前に在学延長か卒業か決めなければならなかった。


色々と調べるうちにこんな噂を聞いた。企業にエントリーするにあたり

個人情報を入力するのだが、この際「既卒」か「○○年度卒業見込み」の

どちらかを選択するタブがある。
これを既卒と答えてしまうと自動的に落とされるという真偽不明な話を信じた私は

学生の身分を維持するために大学の養分になることを選んだ。

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年が明け、卒論も仕上げたころにようやっと就活を

再開して定石通りのやり方をとった。
意識したのは実現可能性という点だった。


やりたい、条件がよい所ではなくいけそうな業界・企業に絞った。
そして聞かれる可能性のある質問をあらゆる就活サイトから集め

回答を作っておいた。


また前年の2、3倍の企業にエントリーした。
昨年との相違点としては去年と比べESが通りづらくなったことだった。


また試しで去年受けた企業数社にエントリーしたが、前年2次面接まで行った企業であってもESの段階で落とされたので

ブラックリストに入れられていたと思われる。

 

面接で困ったのは留年した理由を聞かれた時である。
自分が100%悪いながらも怠惰すぎると思われない様に、

また他責的すぎないように理由を作る必要があった。
この問題は最後までついて回ったが、

結局そのまま伝えるしか方法がなかった。
相手が信じたどうかは別として、学業面の問題はなかったということ、そのおかげで今の会社に出合えた偶然性を伝えるよう意識した。

当然その会社への熱意を伝えるため、ある程度調べる必要はあった。
学業に関しては卒業論文を書き終えたことにより詳しく説明できるようになり、
その部分に興味をもっていただくこともあった。

結局去年受けたところと全く関係ない企業に繋げていただく機会があり、
この闇の力を使ったことにより、早い段階で就活を終えることができた。
去年内定を頂いた企業より条件が明確によい企業だったので、すぐに承諾した。
去年のようなあっさりした決着だったが、境遇は正反対だった。

 

まとめとして、就職留年はしない方がよい。

自分は運よく実家のバックアップによる所が大きかったので留年が可能だったが、
選考の通過率が前年のおよそ3分の2程度落ちている。
また自分の心の弱さもおおいに関係しているが、インターンやOB訪問などの

3月の就活解禁前の活動をしてこなかったので、
当然去年より自分が成長した感覚はなかった。

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自主的に考え行動できる人間であれば、
留年を決めた時点から来年度の就活に向け動くことができるが、
そういう人間でないからこそ就職留年したわけである。


単純に去年より行ける企業のランクが上がり、
成功したように見えるのは目の付け所を変え、
現実的にいけそうなラインの設定がうまくいったからだと考えられる。


もちろん家族や友人の支援や理解のほか、

様々な運や縁も絡んでいることは前提としてある。

 

就活は課題が与えられる高校、大学の勉強と違い、

最終目標すら自分で設定して動く必要がある。


自分に自信がない諸兄は自分ができそうなラインを設定して

4年生の段階でしっかり終わらせることが肝要だ。

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